レッスン 3: シンプル マッスルの設定
 
 
 

前のレッスンでは、カプセルとボーンのみを使用してマッスル デフォーマを設定しました。これにより、追加のスキニングを構築する基礎知識が得られました。このレッスンでは、シンプル マッスルを作成して、メッシュでマッスル デフォメーションを設定する方法について学習します。

レッスンで使用するシーンを開く

  1. 前のレッスンで使用したファイルをロードするか、DragonLeg_Muscles_Start.mb ファイルをロードします。

    このファイルには、すべてのマッスルとボーンが接続され、カプセルにデフォルトの基本的なスティッキー ウェイトが適用されたドラゴンの脚が収められています。

  2. 次にいずれかを実行してスキン メッシュの表示を変更し、下にあるリグが見えるようにします。
    • ディスプレイ レイヤ エディタ(Display Layer Editor)で lyrSkin レイヤをオフにして、マッスルで作業を行う間一時的にスキンを非表示にします。
    • パネル メニューからシェーディング > X 線(Shading > XRay)を選択します。

シンプル マッスルを作成する

既存の NURBS サーフェスをマッスルに変換してリグを設定できますが、Maya マッスルにはマッスルを簡単に構築、設定するためのツールが用意されています。次の手順では、マッスル ビルダ(Muscle Builder)を使用してシンプル マッスルを作成します。

  1. メイン メニューから マッスル > シンプル マッスル > マッスル ビルダ(Muscle > Simple Muscles > Muscle Builder)を選択します。

    マッスル ビルダが表示されます。

  2. アウトライナ(Outliner)を使用し、次の操作を実行してマッスルのアタッチ オブジェクト(Attach Objects)をロードします。
    • jntShoulder カプセルを選択して、Obj 1 のアタッチ(Attach Obj 1) をクリックします。
    • jntLegLo カプセルを選択して、Obj 2 のアタッチ(Attach Obj 2) をクリックします。

      これらの ボタンをクリックすると、選択したオブジェクトがアタッチ オブジェクト(Attach Object)フィールドにロードされます。

  3. 構築/更新(Build/Update)をクリックします。

    マッスルのシェイプは、開始アタッチ オブジェクト(Obj 1 のアタッチ)から終了アタッチ オブジェクト(Obj 2 のアタッチ)へ生成されます。作業中にシーン ビューをワイヤフレーム モードまたは X 線モードに変更して結果を確認できます。

    ヒント:Obj 1 のアタッチまたは Obj 2 のアタッチ ボタンをクリックすると、アタッチ ロケータを直接選択して、シーン ビューに配置できます。

    このチュートリアルでは、構築(Build)タブのパラメータはデフォルト設定のままでかまいません。必要に応じて、シンプル マッスル設定を調整できます。使用可能なアトリビュートの詳細については、『Maya マッスル』マニュアルの 構築(Build)タブを参照してください。

    注:タイムラインをスクラブすると、マッスルはアタッチされたままですが、正しく伸長や収縮はしません。これはデフォメーションの設定がまだ完了していないためです。

    マッスルの一般的な配置と設定が完了すると、マッスルのシェイプをより詳細にスカルプトできます。

シンプル マッスルのシェイプをスカルプトする

  1. マッスル ビルダ(Muscle Builder)で、断面(Cross Section)タブに切り替えます。

    このタブには 3 つの主要なセクションがあります。左側のリストには、マッスルの各断面が表示されます。通常は最初と最後の断面が調整されます。2 つのビュー パネルがあり、長辺方向と側面からのすべてのマッスル断面のビューを表示します。

  2. 断面リストから Curve 3 と Curve 5 を選択します。ビュー パネルでこれらを X 軸と Z 軸で移動できます。

    断面(Cross Section)カーブ リストで 1 つまたは複数の項目を選択すると、これらのカーブが選択されます。このビューパネルまたはシーン ビューで、これらを移動することができます。

  3. タブの上部にある断面の編集(Edit Cross Section)をクリックします。

    これで断面は編集可能になり、ビュー パネルがコンポーネント モードに自動的に切り替わり、断面カーブのポイントを直接編集できるようになります。

  4. 目的のマッスルのシェイプが得られるまで、断面の編集を続けます。

    ヒント:マッスル ビルダ(Muscle Builder)のビュー パネルでは、パンすることができます。簡単にビュー パネルを中心に戻すには、再度断面(Cross Section)タブをクリックします。
  5. 完了したら、タブの最上部にある編集(EDITING)ラベルをクリックします。

    これでマッスルのスカルプトは完了です。次の手順では、構築プロセスを完了し、マッスルにリグを設定して適切な変形を行います。

シンプル マッスルを確定する

  1. マッスル ビルダ(Muscle Builder)ウィンドウで、確定(Finalize)タブに切り替えます。

    このタブでは、マッスルを変形してリグを設定する方法を選択できます。確定(Finalize)タブのアトリビュートの詳細については、 確定(Finalize)タブを参照してください。

  2. マッスル スプライン デフォーマ(Muscle Spline Deformer)が選択されていて、コントロール数(Num Controls)が 3 に設定されていることを確認します。
    注:これにより、マッスルの始点、中間点、終点の 3 つのムーバが得られます。
  3. マッスルに変換(Convert to Muscle)をクリックします。

    警告ダイアログ ボックスが表示され、この操作でこのマッスルの断面が確定されることを示します。またこのダイアログ ボックスにより、マッスルとコントロールのベース名を選択できます。

    後からマッスル ペイント(Muscle Paint)ウィンドウで簡単にマッスルを選択してウェイト付けできるように、使いやすくわかりやすい命名規則を採用することをお勧めします。たとえば、上肢の裏側の中心近くに配置するマッスルを作成した場合は、「hamstringsCenter」という名前を付けます。

  4. 名前を入力して OK をクリックします。

    マッスルにリグが設定され、cMuscleObject シェイプ ノードが作成されます。ワイヤフレーム モードでは、3 つの黄色いボックス コントロールが表示されます。これらのコントロールはアニメートが可能でジグル設定を持ち、適切なカプセルにコンストレインされます。

  5. マッスル パラメータ(Muscle Parameters)タブに切り替えて、下にスクロールします。

    このセクションでは、選択したマッスルのデフォーマをカスタマイズできます。一部のコントロールは、アトリビュート エディタ(Attribute Editor)またはチャンネル ボックス(Channel Box)で直接操作することもできます。

    チャンネル ボックスでデフォーマ アトリビュートを確認するには、マッスルのサーフェスを選択します。

  6. フレーム単位でタイムラインをスクラブして、マッスルの収縮と伸長を確認します。1 フレームずつスクラブすると、意のフレームに移動して任意の時間のマッスル パラメータ(Muscle Parameters)を調整しても、正しく再生されます。

収縮と伸長を調整する

マッスルの収縮と伸長を設定する前に、マッスルの最小長と最大長を設定しておくことをお勧めします。デフォルトでは、マッスルの最小収縮値はオリジナルの長さの 1/2 に、最大伸長値はオリジナルの長さの 2 倍に設定されます。マッスルの長さをこれらの設定に変更すると、ボリュームを最大限に変更できます。

収縮と伸長の長さ設定を調整するには

  1. シーン ビュー シェーディングをすべてをスムース シェード(Smooth Shade All)に設定し、ディスプレイ レイヤ エディタ(Display Layer Editor)で lyrSkin レイヤをオフにします。
  2. マッスル ビルダ(Muscle Builder)マッスル パラメータ(Muscle Parameters)タブを開いたままにしておき、次の操作を実行して収縮ポーズを定義します。
    • FootIKMover コントロールを選択して、脚を収縮位置まで上げます。
    • マッスルのサーフェスを選択します。
    • マッスル パラメータ(Muscle Parameters)タブのスプラインの長さ設定(Spline Length Setting)セクションで、カレントを収縮として設定(Set Current as Squash)をクリックします。

      これによりマッスルの最小収縮値はカレントの長さに設定されます。

  3. 次の操作を行い、伸長ポーズを定義します。
    • FootIKMover コントロールを選択して、脚が完全に伸長するように下に移動します。
    • マッスルのサーフェスを選択します。
    • スプラインの長さ設定(Spline Length Settings)セクションで、カレントを伸長として設定(Set Current as Stretch)をクリックします。

    最小と最大の伸長値を設定すると、収縮/伸長の設定が視覚的な出力に対してより直接的な影響を与えます。これは、最小と最大の伸長値がマッスルが変化する実際の長さに密接に関連しているためです。これにはボリュームを失わないように伸長を抑制する働きもあります。さらに、これにより収縮時に弱める(Dampen On Squash)伸長時に弱める(Dampen On Stretch)の値が正しく機能します。

  4. 必要に応じて伸長ボリュームのプリセット(Stretch Volume Presets)を調整します。

    マッスル ビルダ(Muscle Builder)での変更内容がマッスルに作用するように、マッスルのサーフェスが選択されていることを確認します。伸長の設定により、マッスルの始点、中間点、終点での X 軸と Z 軸の基本的な放射状ボリュームの変化を設定できます。

    マッスルが縮小するときにフリップする場合は、アップ軸(Up-Axis)を変更すると修正できます。マッスルが湾曲するとき、エイム値は先端がどのように適応するかを設定します。

    ヒント:アニメーションを再生し、再生中に設定を調整することができます。伸長ボリューム プリセットをクリックすると、値は自動的に複数のプリセット値の 1 つに設定されます。

ジグル パラメータを表示する

シンプル マッスルのジグルでは、マッスルの始点と中間点と終点を全体的にコントロールできます。マッスルにリグを設定して 4 つ以上のムーバを作成した場合は、黄色いムーバに特定のジグル値を直接設定することもできます。マッスル ビルダウィンドウのマッスル パラメータタブに配置されている ジグル プリセット(Jiggle Presets)のエフェクトを確認することができます。

ジグル パラメータを表示するには

  1. アニメーションを再生します。
  2. アニメーションを再生しながら各ジグル プリセット(Jiggle Presets)ボタン(デフォルト(Default)軽い(Light)通常(Medium)重い(Heavy)オフ(OFF))をクリックして、マッスルに対する各プリセットのエフェクトを確認します。

レッスンを終えて

このレッスンでは、以下について学習しました。

cMuscleSplineDeformer を使用してシンプル マッスルにリグを設定した場合、カスタム マッスル シェイプを実行して、マッスルのさまざまな長さでの表示を正確にコントロールできます。詳細については、『Maya マッスル』マニュアルの cMuscleSplineDeformer ノード マッスル スプライン デフォーマを設定するを参照してください。

多数のシンプル マッスルを構築するときに、マッスルとボーンを貫通させたい場合があります。たとえば、 シュリンク ラップ(Shrink Wrap)の使用時に、マッスルとボーンの間にギャップや空間が生成されるよりも、貫通してもマッスルがしっかりと固まっている方が自然です。

構築(Build)タブに戻り、新しい設定を選択し、これまでに学習したテクニックを使用して、リグにさらにマッスルを構築することができます。このレッスンで完成したマッスル リグは、DragonLeg_Muscles_End.mb という名前で格納されています。