スケルトンのポーズを設定する
 
 
 

Maya では、アニメーション時にキネマティクスを使用して、キャラクタを移動し、ポーズを設定します。キネマティクスとは、スケルトンのモーションを設定するためのシステムです。Maya には、フォワード キネマティクス(FK)とインバース キネマティクス(IK)の 2 種類のキネマティクスがあります。それぞれのキネマティクスは、特定のタイプのモーションを設定するのに最適です。

フォワード キネマティクスでは、スケルトンの個々のジョイントを回転させ、キーを設定します。フォワード キネマティクスは、二足歩行の肩のジョイントの回転など細かい円弧状のモーションを作成するのに適しています。

インバース キネマティクスでは、IK ハンドルを移動し、キーを設定して、IK チェーンのジョイントのトランスフォームと回転のポーズ設定を行い、アニメートします。IK ハンドルの開始ジョイントと終了ジョイントの間のすべてのジョイントは、IK ハンドルによって駆動されます。インバース キネマティクスは、オブジェクトに到達する二足歩行の手のモーションなど、目標指向のモーションを作成するのに適しています。

FK と IK のどちらか一方だけを使ってスケルトンのジョイントのポーズの設定やアニメートを行うだけではなく、同じジョイントに FK アニメーションと IK アニメーションをブレンドすることができます。

関連項目

フォワード キネマティクス(FK)

フォワード キネマティクス(FK)では、個々のジョイントを回転または移動して、ジョイント チェーンのポーズ設定やアニメートを行います。詳細については、 FK を使用してジョイントのポーズを設定するを参照してください。ジョイントの移動は、そのジョイントとそのジョイントよりも階層で下位にあるすべてのジョイントに影響します。たとえば、空間内の特定の位置にジョイント チェーンを到達させる場合は、ジョイント チェーンがその位置に到達できるように、各ジョイントを個別に回転させる必要があります。これを行うには、まずジョイント チェーンの親ジョイントを回転し、移動してから、その次のジョイント、さらにその次のジョイントというように、ジョイント チェーンの階層を下がっていきます。フォワード キネマティクスによりスケルトンをアニメートすると、Maya は最初にルート ジョイントの回転を決定し、次にルートの子ジョイント、次のその子ジョイントというように、スケルトンの階層を下がっていきます。

フォワード キネマティクスは、方向が指定されないモーション(肩のジョイントの回転など)の作成に適しており、大きくて、複雑なスケルトンのアニメーションには使用しないでください。また、目標指向のモーションを作成する場合、フォワード キネマティクスの使用方法は簡単ではありません。たとえば、FK を使用してスケルトンをアニメートする場合、胴体が前方に移動するときに足を静止させておくことが難しくなります。また、現実の人間が手を空間の特定位置に動かすとき、普通は腕のすべての関節をどのように回転させるかを考えながら動かしてはいません。

インバース キネマティクス(IK)

インバース キネマティクス(IK)では、IK ハンドルを移動させてジョイント チェーン全体のポーズを設定します。IK ハンドルとは、選択し移動させることにより、割り当てられたジョイントに影響を与えるオブジェクトです。詳細については、 IK ハンドルを参照してください。IK ハンドルを持つジョイント チェーンは、IK チェーンと呼ばれます。IK ハンドルを使ってジョイント チェーンのポーズの設定やアニメートを行う場合、IK ソルバが IK チェーン内の全ジョイントを自動的に回転させます。IK ソルバとは、IK ハンドルを配置するときに、Maya が IK チェーン内の全ジョイントの回転を計算するために使用するツールです。詳細については、 IK ソルバを参照してください。

目標指向のモーションを作成する場合は、チェーン内の各ジョイントの回転を個別に指定しなくてもジョイント チェーンが到達する目標位置だけを考えればよいため、インバース キネマティクスの方がフォワード キネマティクスよりも直感的です。

警告:
  • ジョイントがモデルにバインド(スキニング)されている場合は、ジョイントをスケルトンに追加したり、あるいはスケルトンから削除することはできません。追加や削除を行った場合には、IK ハンドルまたはスキニングを再度行う必要があります。
  • IK ハンドルを使用してジョイント チェーンにポーズを設定する場合は、直線で描画されるジョイント チェーンを作成しないようにしてください。IK ハンドルを挿入する前に、ジョイント チェーンのジョイントの一部を適切な角度にわずかに回転させると、IK を使用するチェーンのポーズ設定が簡単になります。

フル ボディ IK(FBIK)

Maya の新しいフル ボディ IK(FBIK)により、二足歩行や四足歩行のキャラクタに対して自然なポーズやアニメーションをすばやく簡単に作成できます。

手足それぞれに単一の IK ハンドルを使用する代わりにフル ボディ IK を使えば、FBIK エフェクタを使用してキャラクタのボディ パーツを移動および回転したときに、キャラクタの胴体のその他の部分をその動きに追従させることができます。たとえば、FBIK を使用して床からオブジェクトを拾い上げる二足歩行キャラクタの腕をアニメートすると、キャラクタの FBIK ハンド エフェクタを下方に移動するにつれ、キャラクタは腰と膝を曲げて自然にかがみます。また FBIK を使用して、腕を使って木の大枝にぶら下がって揺れているキャラクタ、逆立ちしているキャラクタ、キャラクタの歩行サイクルなどの動きもアニメートすることができます。

Maya のフル ボディ IK は、Autodesk® MotionBuilder® に使用されている Autodesk® HumanIK® ソルバに基づいています。FBIK は HumanIK ソルバの機能をフル活用しており、FBIK でアニメートしているときに、さまざまな hikHandle アトリビュートを使用して操作中および再生中にキャラクタの動きを微調整することができます。また、Autodesk® FBX® プラグインとファイル交換フォーマットにより、アニメーションをベイク処理することなく、FBIK を使用してアニメートされたリグ キャラクタを Maya と MotionBuilder 間で転送できます。

フル ボディ IK ワークフロー

次の各手順は、特に指定がなければ Maya で FBIK を使用する場合に必須となります。

  1. フル ボディ IK 用のキャラクタを準備する.
  2. キャラクタのジョイントにラベルを付けるまたは名前を変更する.
  3. キャラクタにフル ボディ IK システムを作成する.
  4. FBIK を使ってキャラクタのポーズをとります。

    詳細については、 キャラクタのエフェクタを固定または固定解除する フル ボディ IK を使用してキャラクタのポーズ設定を行う手順を参照してください。

  5. FBIK を使ってキャラクタの動きにキーを設定します。

    詳細については、 フル ボディ IK を使用してキャラクタをアニメートする手順 フル ボディ IK キーを管理する手順を参照してください。