フル ボディ IK を使用してキャラクタのポーズ設定およびアニメートを行う
 
 
 

フル ボディ IK は複数レベルの階層を使用します。この階層レベルは、エフェクタ、ジョイント、そしてアニメーション キーを、キャラクタの胴体の解剖学上の構造に従ってグループ化するために使用されます。FBIK を使用してキャラクタのポーズ設定を行う場合には、キャラクタの FBIK エフェクタとスケルトンで作業する必要があります。FBIK を使用してキャラクタのアニメートを行う場合には、キャラクタのボディ パーツとキャラクタ セットで作業する必要があります。

フル ボディ IK をキャラクタに追加すると、次の階層レベルが作成されます。

FBIK スケルトンとエフェクタ

キャラクタにフル ボディ IK を追加すると、FK スケルトンと FBIK エフェクタ セットが作成され、キャラクタのオリジナルのスケルトンは入力スケルトンとなります。FBIK が動作するには、hikSolver に入力スケルトンと FK スケルトンの両方が必要となります。

シーン ビューでは、入力スケルトンは茶色に表示され、FK スケルトンは濃紺に表示されます。シーン ビューで FK スケルトンを可視にするには、 スケルトン > フル ボディ IK > FBIK FK スケルトンの表示(Skeleton > Full Body IK > Show FBIK FK Skeleton)または FBIK FK スケルトンの非表示(Hide FBIK FK Skeleton)を選択します。

操作中は、hikSolver は FK スケルトンに同期し、入力スケルトンは FBIK エフェクタによって動作します。また、引き寄せ(Pull)と固さアトリビュート(Stiffness Attributesi)のような高度な HIK ハンドルは、操作中は考慮されません。詳細については、『キャラクタ セットアップ』マニュアルの HIK ハンドルを参照してください。

再生時には、FK スケルトンと入力スケルトンは FBIK アニメーションの結果に影響しますが、同期することはありません。

入力スケルトン

FBIK を使用してポーズ設定すると、キャラクタの入力スケルトンのジョイントをトランスフォームさせてジョイント レベルのポーズを作成することができます。これは Maya の通常の FK を使用してポーズ設定するのと似ています。詳細については、『キャラクタ セットアップ』マニュアルの スケルトンのポーズを設定するを参照してください。

FBIK を使用してアニメートすると、キャラクタの入力スケルトンのジョイントとその FBIK エフェクタにキーを設定して、FK アニメーションを作成することができます。入力スケルトンに設定したキーは実際にはそこではなく、FK スケルトンに配置されます。

FBIK アニメーションを再生すると、入力スケルトンはシーン ビューに結果の FBIK アニメーションを表示します。これは IK/FK アニメーションをブレンドしたときのブレンド スケルトンと似ています。詳細については、『キャラクタ セットアップ』マニュアルの IK/FK ブレンディングを参照してください。

入力スケルトンはキャラクタのスキンをバインドする場合にも使用されます。

FK スケルトン

FBIK を使用してポーズ設定する場合には、FK スケルトンに含まれるジョイントをトランスフォームさせず、代わりに入力スケルトンに含まれるジョイントを操作して FK タイプのポーズを作成します。

FBIK を使用してアニメートするには、FK スケルトンのジョイントにキー設定せず、代わりに入力スケルトンのジョイントとその FBIK エフェクタにキー設定して FK アニメーションを作成します。ただし、入力スケルトンに設定したキーは FK スケルトンに配置されます。

FBIK アニメーションを再生すると、FK スケルトンを表示してキャラクタの入力と FK スケルトンのポーズとの間の相違点を確認することができます。

FBIK エフェクタ

FBIK を使用してポーズ設定すると、FBIK エフェクタをトランスフォームして全身の部分パーツレベル(手や脚など)のポーズを作成することができます。これは IK ハンドルを使用してキャラクタをポーズ設定するのに似ています。詳細については、『キャラクタ セットアップ』マニュアルの スケルトンのポーズを設定する IK ハンドルを参照してください。

FBIK を使用してアニメートすると、キャラクタの FBIK エフェクタと入力ジョイントにキー設定を行い、IK アニメーションを作成することができます。これらのキーは、入力スケルトンのジョイントではなく、FBIK エフェクタとその FK ジョイントに配置されます。FBIK エフェクタの達成度(Reach)値にキー設定し、エフェクタに対して IK のを設定することができます。詳細については、 達成度キー モード(Reach Mode)を参照してください。

警告:FBIK エフェクタのトランスフォームを固定すると、ワールド空間におけるキャラクタとそのジョイントの位置が変更されます。

ボディ パーツ

キャラクタがもつ各 FBIK エフェクタと FK ジョイントは、キャラクタの全身に存在する手足や構造に対応したボディ パーツのメンバーです。FBIK を使用してアニメートする場合には、ボディ パーツの FBIK エフェクタと入力ジョイントにキー設定してキャラクタの手足をアニメートすることができます。

ボディ パーツのメンバーシップ

ボディ パーツ FK ジョイント FBIK エフェクタ

ヒップ

Hips

HipsEff

脊椎

Spine

Spine1-Spine9

NeckEff

SpineEff

頭部

Neck

Neck1-Neck9

Head

HeadEff

Shoulder(鎖骨)

Arm(肩)

UpArmRoll(上腕ロール)

ForeArm(肘)

ForeArmRoll(下腕ロール)

Hand(手首)

FingerBase

ArmEff

ForeArmEff

HandEff

FingerBaseEff

UpLeg(ヒップ)

UpLegRoll(上脚ロール)

Leg(膝)

LegRoll(下脚ロール)

Foot(足首)

ToeBase(母指球)

UpLegEff

LegEff

FootEff

ToeBaseEff

各指がボディ パーツ

各指先にエフェクタがある

足指

足の各指がボディ パーツ

各つま先にエフェクタがある

キャラクタおよびサブキャラクタ セット

キャラクタにフル ボディ IK を追加すると、キャラクタの各ボディ パーツはサブキャラクタ セットに割り当てられ、すべてのサブキャラクタ セットはトップレベルのキャラクタ セットに配置されます。FBIK を使用してアニメートすると、キャラクタの選択された FBIK エフェクタ、入力ジョイント、ボディ パーツまたはキャラクタ全体に設定したキーが、特定のサブキャラクタ セットの下でグループ化されます。

FBIK キャラクタ セットおよびサブキャラクタ セットにより、FBIK アニメーションの同期を維持するために、正しい対象に対して確実にキーフレーム設定することが可能になります。FBIK は、キャラクタの FBIK エフェクタと FK ジョイントに同期化されたキーがある場合に、もっともうまく動作します。

注: スケルトン > フル ボディ IK > ボディ パーツの自動ロード(Skeleton > Full Body IK > Body Part Autoload)がオンの場合、デフォルトでは、タイム スライダ(Time Slider)、グラフ エディタ(Graph Editor)、ドープシート(Dope Sheet)にどのキーが表示されるかは、キャラクタの現在のキー モード(Key Mode)によって決まります。

たとえば、キー モード: すべて(Key Mode: All)では、選択したエフェクタ、または FK ジョイントのキャラクタの FBIK キー(IK および FK)が表示されます。ボディ パーツ キー モード(Body Part Key Mode)では、選択したエフェクタまたは FK ジョイントのボディ パーツに対する FBIK エフェクタおよび FK ジョイントすべての FBIK キーが表示されます。また、キー モード: 選択項目(Key Mode: Selected)では、選択した FBIK エフェクタ、または FK ジョイント上の FBIK キーのみ表示されます。

ボディ パーツ キャラクタまたはサブキャラクタ セット

ヒップ

fbikCharacter

脊椎

_spine

頭部

_head

_leftArm / _rightArm

_leftLeg / _rightLeg

_leftFingerThumb / _rightFingerThumb

_leftFingerIndex / _rightFingerIndex

_leftFingerMiddle / _rightFingerMiddle

_leftFingerRing / _rightFIngerRing

_leftFingerPinky / _rightFingerPinky

_leftFingerExtra / _rightFingerExtra

足指

_leftFootThumb / _rightFootThumb

_leftFootIndex / _rightFootIndex

_leftFootMiddle / _rightFootMiddle

_leftFootRing / _rightFootRing

_leftFootPinky / _rightFootPinky

_leftFootExtra / _rightFootExtra

フル ボディ IK を使用してキャラクタのポーズ設定を行う手順

フル ボディ IK を使用してキャラクタのポーズ設定を行うには、必要に応じてエフェクタを固定または固定解除するとともに、キャラクタの FBIK エフェクタ(IK タイプの動作用)と入力ジョイント(FK タイプの動作用)をトランスフォームする必要があります。詳細については、 キャラクタのエフェクタを固定または固定解除するを参照してください。

また、キャラクタに対して補助ピボットとフロア コンタクトを使用し、FBIK ポーズを補助および強化することもできます。詳細については、 補助ピボットの作成 キャラクタの手と足に対してフロア コンタクトを作成するを参照してください。

注:キー モード: ボディ パーツ(Key Mode: Body Part)は、キャラクタのポーズ設定を個々の手足やボディ パーツに分離します。たとえば、ボディ パーツ(Body Part)が、二足歩行キャラクタの現在のキー モード(Key Mode)であるときに、RightHandEff を移動する場合、このキャラクタの右腕の新しいポーズは、左腕や両足のいずれのポーズにも影響を与えませんし、これを変更することもありません。

フル ボディ IK を使用してキャラクタをアニメートする手順

フル ボディ IK を使ってアニメートするには、次の手順を実行する必要があります。

IK または FK 達成度モードはいつ使用するか

次のような場合には、キャラクタに IK 達成度を使用します。

たとえば、歩行サイクルでキャラクタの足が床に接地するときにその足の位置にキーを設定する場合などです。この場合は、FootEff エフェクタにキーを設定して、足が滑らないようにします。

次のような場合には、キャラクタに FK 達成度を設定します。

たとえば、歩行サイクルで脚が床から離れて空中で揺れているときに、キャラクタの FootEff にキーを設定する場合などです。この場合は、キャラクタの脚の動きにキーを設定する必要がありますが、キャラクタの足を特定の位置に固定する必要はありません。

FBIK エフェクタとジョイントにキーを設定する手順

FBIK キーに対してキー モード(Key Mode)および達成度キー モード(Reach Mode)を設定し、キャラクタのどこに FBIK キーを配置するか、またキャラクタの FBIK アニメーションにおいてアニメーション中に特定のポイントで FK と IK のどちらに重点を置くかを決定します。

FBIK を使用してキャラクタをアニメートする場合には、FBIK マーキング メニューまたは アニメート > フル ボディ IK キーの設定(Animate > Set Full Body IK Keys)ウィンドウからキーに対するキー モードおよび達成度キー モードを選択できます。

警告:
  • FBIK で アニメート > キーの設定(Animate > Set Key)またはキーの設定のホットキー(s キー)を使用するには、アニメート > キーの設定(Animate > Set Key) で、フル ボディ IK キーの設定(Set FullBodyIK keys)オンにする必要があります。
  • FBIK を使用してアニメートする場合は、自動キー(Autokey)は使用できません。

FBIK キーを設定するには

  1. キャラクタのポーズを設定します。
  2. キャラクタに適した達成度キー モード(Reach Mode)を選択します。詳細については、 達成度キー モード(Reach Mode)を参照してください。
    • IK モード(IK Key Mode)は FBIK エフェクタに対して達成度(Reach)チャンネル値を 1 に設定し、FBIK キーを設定するときに必ずキー設定されるようにします。IK キー モードはエフェクタが完全に IK で制御されるように設定します。
    • FK モード(FK Key Mode)は、FBIK エフェクタに対して達成度(Reach)チャンネル値を 0 に設定し、FBIK キーを設定するときに必ずキー設定されるようにします。FK モードはエフェク タの IK を無効にし、下にある FK スケルトンのジョイントによってキャラクタのアニメーションを動かせるようにします。
    • 簡易キー(Simple Key)モードで、キー設定された FBIK エフェクタの達成度(Reach)チャンネル値が設定されることはありません。達成度(Reach)の値は変更されず、キー設定も行われません。
  3. キャラクタに対して、目的のキー モード(Key Mode)を選択します。詳細については、 キー モード(Key Mode)を参照してください。
    • 選択項目(Selected)モードでは、選択した入力ジョイントと FBIK エフェクタにキーが設定されます。
    • ボディ パーツ(Body Part)モードでは、キャラクタのボディ パーツの FBIK エフェクタと入力ジョイントにキーが設定されます。
    • すべて(All)モードでは、キャラクタ全体の FBIK エフェクタと FK ジョイントにキーが設定されます。
  4. キー設定したい FBIK エフェクタまたは入力ジョイントを選択し、 アニメート > キーの設定(Animate > Set Key)またはキーの設定のホットキー(s キー)を使用して、これらの上にキーを設定します。
    注:

フル ボディ IK キーを管理する手順

ステップ ネクスト(Stepped Next)

FBIK アニメーション キーでは、デフォルトで、特別なステップ ネクスト(stepped next)接線のタイプが使用されます。この接線タイプは、カレント キーの補間値を次のキーに到達するまで保持するのではなく、次のキーの補間値に即座にジャンプするという点で、通常のステップ接線とは異なります。この接線によりキャラクタの操作中にその FBIK エフェクタにキーを設定できるため、アニメーションを前もって考えておいたり、キャラクタを次のポーズにするのにどのエフェクタを選択して操作すればよいか考える必要がないという点で便利です。FBIK アニメーション カーブの接線は、FBIK システムで自動的に管理されるため、積極的に管理する必要がありません。

たとえば、FBIK を使用して歩行サイクルをアニメートするのに通常のステップ接線を使用したとすると、あるポーズから別のポーズに動くときに(キャラクタの足のかかとにおける補助ピボットの回転や、キャラクタの足首におけるエフェクタの移動など)移動または回転するジョイントと FBIK エフェクタに対し、個別にキーを設定する必要があります。同じ FBIK アニメーション キーに対してステップ ネクスト接線を使用すると、各ポーズに対してボディ パーツに一度キーを設定するだけで、FBIK エフェクタまたはジョイントそれぞれに個別にキーを設定する必要はありません。

タイム スライダ、グラフ エディタ、およびドープシートでの FBIK キー

グラフ エディタ(Graph Editor)ドープシート(Dope Sheet)では、FBIK キーの位置とタイミングを編集することができます。ただし、FBIK キーの表示や削除が必要な場合は、タイム スライダを使ってください。

キャラクタの FBIK キーをグラフ エディタ(Graph Editor)ではなくタイム スライダから削除することで、キャラクタのアニメーションの補間中、IK スケルトンと FK スケルトンの同期が維持されます。IK スケルトンと FK スケルトンの同期を維持することは、最適な FBIK アニメーション結果を得るのに不可欠です。タイム スライダ コンテキスト依存メニューの FBIK キーの削除(Delete FBIK Keys)メニューで、タイム スライダから FBIK キーを削除することができます。詳細については、『アニメーション』マニュアルの「 アニメーション コントロール メニュー」を参照してください。

キー設定された FBIK エフェクタまたは入力ジョイントを選択した場合、デフォルトでは、タイム スライダ(Time Slider)、グラフ エディタ(Graph Editor)、ドープシート(Dope Sheet)には、そのキーのみが表示されます。ただし、 スケルトン > フル ボディ IK(Skeleton > Full Body IK) > ボディ パーツの自動ロード(Body Part Autoload)オンの場合、現在のキー モードによって、タイム スライダ、グラフ エディタ、ドープシートに表示されるキーが決定されます。たとえば、オール キー モード(All Key Mode)では、選択したエフェクタ、または入力ジョイントのキャラクタの FBIK キー(IK および FK)が表示されます。ボディ パーツ キー モード(Body Part Key Mode)では、選択したエフェクタまたはジョイントのボディ パーツに対する FBIK エフェクタおよび入力ジョイントすべての FBIK キーが表示されます。また、選択したキー モード(Selected Key Mode)では、選択した FBIK エフェクタ、または入力ジョイント上の FBIK キーのみ表示されます。

注: スケルトン > フル ボディ IK(Skeleton > Full Body IK) > ボディ パーツの自動ロード(Body part Autoload)オンで、ボディ パーツ(Body Part)またはすべて(All)キー モードがオンの場合、選択した FBIK エフェクタまたは入力ジョイントのサブキャラクタ セットが、カレント キャラクタ(Current Character)として自動的にロードされます。