セルフシャドウは、ヘアを自然に見せるためには特に重要です。ペイント エフェクトのヘアを使用する場合、長いヘアにシャドウを付けるには標準的なペイント エフェクトと同じ問題が伴います。レイ トレースしたシャドウはサポートされないので、デプス マップ シャドウを用いる必要があります。また、中間距離の使用(Use Mid Dist)はオフにしてください。中間距離の使用(Use Mid Dist)がオフの場合、一般的にバイアス(Bias)を調整する必要があります。バイアス(Bias)を大きくすると、より多くのライトがヘアを通過できるようになり、またサーフェス上にノイズとしてセルフ シャドウの格子状のアーティファクトが生じるのを抑えられます。ヘアは非常に細い物体なので、シャドウ マップの解像度はかなり高めにする必要があるでしょう。しかし、フィルタ サイズ(Filter Size)を大きくするとシャドウがスムースになり、ヘアに広がるライトの拡散のシミュレートに役立ちます。また、ヘアのシャドウのガタつきやエイリアシングを小さくします (ライトやシャドウに関するアトリビュートの詳細については、『ライティング』マニュアルの「 Maya のシャドウ」と「 シャドウ アトリビュート」を参照してください。
バイアス(Bias)については、一般的に低い値からはじめ、サーフェスにシャドウのアーティファクト(サーフェス上の暗い筋)がなくなるまで値を大きくしてください。ヘアを通過するライトの量を増やしたい場合は、この値をさらに大きくします。一般に、フィルタ サイズ(Filter Size)を大きくすると、バイアス(Bias)もこれに応じて大きくする必要があります。非常に柔らかく透明度の高いヘアでは、比較的大きなフィルタ サイズとバイアス(Bias)を使用してください。小さなフィルタ サイズでデプス マップの解像度を下げることで類似の効果が得られる場合もありますが、この場合もフィルタ サイズは 2 未満にならないようにします。
ペイント エフェクト(Paint Effects)の要素はオート フォーカス領域の決定では考慮されないため、自動焦点の使用(Use Auto Focus)をオフにし、焦点(Focus)の値を手動で設定する必要がある場合もあります。ポイント ライトについては、一般にフォーカスを 90° に設定します。スポット ライトについては、一般にフォーカスをスポット ライトの角度に設定します。ディレクショナル ライトについては、フォーカスは角度ではなく、シャドウの元となるオブジェクトの中心か、ライト位置の使用(Use Light Position)がオンの場合にはライトの軸のいずれかからの距離となります。
さらに、ヘア以外にもシーン内にシャドウを投影するジオメトリが必要です。ジオメトリが無いと、デプス マップが作成されません (これがペイント エフェクトの短所です)。ジオメトリは、シャドウが生成される領域に位置する必要があります (現バージョンでは、シャドウ マップを作成するかどうかを決定する際、ペイント エフェクトの要素は無視されます)。
最適の結果を得るためには、影のないアンビエント ライトではなく、薄暗い影のある環境カラーのライトをいくつか使用して、周囲の照明を作成します。必要に応じて、これらのライトの効果を引き出すためにスペキュラ ハイライトをオフにすることもできます。