フィルムバックやアスペクト比を設定する
 
 
 

Setup コントロール パネルの右側は、正確なソリューションを得るために不可欠な適切なフィルムバックやほかのアスペクト比の設定用に使用されます(アスペクト比はイメージの幅/高さの比率、フィルムバックは露光されたフィルム ネガの比率です)。

フィルムバックを設定する理由

フィルムバックなど気にせずに、ディスク上のイメージのアスペクト比を使用してはいけないのか、という疑問をお持ちの方もあるでしょう。実際、デフォルト設定の Same As Image Aspect はそうしています。しかしフィルムバックが設定されていないと、Live は正しい画角(カメラのアパーチャ)と焦点距離を認識できず、その結果レンダリングしたイメージがオリジナルの実写映像に一致しなくなる可能性があります。フィルムバックと焦点距離、画角の関係については、次の図を参照してください。

Live はカレントのイメージ サイズに基づいて、どのフィルムバックが使用されたかを想定することはできません。ユーザーが指定する必要があります。これは、スキャニングやデジタイズの際にイメージのアスペクト比が変更されることが少なくないからです。たとえば、フィルム スキャナで処理すると、イメージの一部が切り取られるケースが往々にしてあります。

アトリビュート エディタ(Attribute Editor)で shotCameraShape を開く(カメラを右クリックし、shotCamera を選択)ことにより、Live の定義済みフィルムバックがカメラの設定に与える影響を確認できます。影響を受けるアトリビュートは、Angle of View(画角)、Camera Aperture(カメラのアパーチャ)、Film Aspect Ratio(フィルムのアスペクト比)です。

Live はカメラの焦点距離をデフォルトで 35mm に設定します。 これ以外の焦点距離を選択したい場合、または Live に焦点距離を計算させたい場合は、フィルムバックを設定し、カメラのコンストレインを変更します。詳細については、 焦点距離コンストレインを作成するを参照してください。

フィルムバックやアスペクト比を設定するには

  1. Predefined Filmbacks リストから、シーケンスの撮影に最もマッチするフィルムバックを選択します。

    ネガからスキャンしたフィルムの場合: 16mm、35mm または 70mm のフィルムバックを選択してください。

    ビデオに変換されたフィルムの場合: 適切なフィルムバックまたは HDTV 設定のいずれかのオプションを選択します。Video Source は選択しないでください。

    ビデオで撮影したシーンの場合: Video Source または HDTV from Video Source(16:9)のいずれかを選択します。

  2. Live によって設定された値を確認します。ほとんどの場合、デフォルトのままにしてください。
    Film Aperture(フィルム アパーチャ)

    フィルムバックの標準的な幅と高さです。

    Device Aspect Ratio(デバイスのアスペクト比)

    レンダーする際の最終出力デバイスのアスペクト比です。Live はアスペクト比を Film Aperture 設定を使い、幅を高さで割ります。そして結果を 1 と想定されるレンズ スクイーズの値に掛けることで決定します。

    注:デバイスのアスペクト比は、工業規格でいうアスペクト比とは多少異なることがあります。たとえば、Super 16mm のアスペクトは通常 1.66 といわれますが、実際の値は 1.688 です。また、歪像のアスペクト比は 2.35 といわれますが、実際は 2.361 です。
    Pixel Aspect Ratio(ピクセルのアスペクト比)

    各ピクセルのアスペクト比は、正方形(1.0)のものもあれば、PAL ビデオ規格のようにそうでないものもあります。この設定は表示専用のオプションですが、Auto-compute をオフに設定すれば変更もできます。Auto-compute がオンのとき、Live は以下の標準値の中から 1 つを選択します。

    1.0(正方形)

    1.067(PAL)

    0.45(NTSC、ハーフ ハイト)

    0.9(NTSC)

    2.0(歪像)

    0.50335(PAL、ハーフハイト)

  3. Ready To Track ボタンが赤く表示されているときは、 Ready To Track エラーを修正するには

    の説明に従ってください。
  4. 最終的に Maya を使用してショットをレンダーする場合は、Copy to Render Settings をクリックします。

    アスペクト比が Maya レンダー設定(Render Settings)の解像度設定にコピーされます。Setup コントロール パネルで変更を行った場合は、Copy to Render Settings を再度クリックしてこれらの設定を更新してください。

    レンダー設定(Render Settings)ウィンドウがすでに開いている場合、新しい設定が表示されない場合があります。この場合は、ウィンドウを一旦閉じてから開き、設定を更新してください。

Ready To Track ボタンが赤く表示されるのは、デバイスのアスペクト比(フィルムバック選択時に設定)とイメージの実際のアスペクト比の食い違いが検出されたときです。Live は以下の式に従って 2 つのアスペクト比の一致/不一致をチェックします。

Device Aspect Ratio (AR) = Image AR x Pixel AR
Device Aspect Ratio (AR) = Filmback AR x Lens Squeeze

食い違いが生じる一般的な原因としてあげられるのは、スキャンまたはデジタイズの際に起きるイメージの切り取りです。

Ready To Track エラーを修正するには

  1. 正しいフィルムバックが選択されていることを確認します。

    設定値は、カメラマンまたはディレクタから入手できれば理想的です。それが不可能なときは、設定を変えて試行してみます。設定によって微妙に変化するものだからです。

  2. Ready To Track ボタンをクリックします。

    通常は、次のようなダイアログが開きます。ダイアログが開かない場合、 2 番目のダイアログから、Solution #1(Crop the Width = 幅の切り取り)または2#(Expand the Height = 高さの拡張)を選択します。に進んでください。

  3. 次のいずれかを実行します。
    • イメージの切り取りが行われたと推測される場合は、Solution #1Adjust Device Aspect= デバイス アスペクト比の変更)を選択します。Live はまず、Device Aspect Ratio をディスク上のイメージから得たアスペクト比と比較します(Image Aspect Ratio x Pixel Aspect Ratio)。2 番目のダイアログが開き、切り取りオプションが表示されます。次の手順を参照してください。
    • イメージの切り取りが行われていないと確信できる場合は、Solution #2Adjust the Pixel Aspect Ratio= ピクセル アスペクト比の調整)を選択します。Live はイメージとあらかじめ設定されたフィルムバックの違いを考慮して、ピクセル アスペクト比を調整します。これでトラックの準備ができました。次の手順はスキップしてください。
  4. 2 番目のダイアログから、Solution #1Crop the Width = 幅の切り取り)または2#Expand the Height = 高さの拡張)を選択します。

    最初のダイアログで Adjust Device AspectSolution #1)を選択すると、上記のダイアログが開きます。関係こそ逆ながら、同じ食い違いが存在するからです。最初のダイアログでは、Film Aperture を基本にしたところ、デバイスのアスペクト比がイメージのアスペクト比と一致しなかったわけです。一方、イメージのアスペクト比をベースとし、それが Film Aperture にマッチしないのがこのケースです。Solution #1#2 はいずれもカメラのアパーチャ値を調整し、イメージのアスペクト比に合わせます。

    Solution #3Adjust Device Aspect = デバイスのアスペクト比の調整)を選択すると、画面は最初のダイアログに戻ります。

    注:Live がアパーチャ値を調整すると、Predefined FilmbackUser に切り替わります(アパーチャ値はカスタム値のため)。