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レイ トレーシングを使用してシーンをレンダーする
レッスン 4: グローバル イルミネーション
レッスンを終えて
グローバル イルミネーションを使用してシーンをレンダーする
グローバル イルミネーションを使用してレンダーするには、特定の設定またはアトリビュートをオンにする必要があります。最初に次の 2 つを設定してください。
- レンダー設定(Render Settings)ウィンドウを使用して、グローバル イルミネーションのレンダリング アトリビュートをオンにします。
- アトリビュート エディタを使用して、グローバル イルミネーションのライティング アトリビュートをオンにします。
最初にデフォルト設定でこれらアトリビュートを使用してシーンをレンダーし、レンダーしたイメージを確認します。その後、前のレイ トレーシング レンダリングを比較します。グローバル イルミネーションを使用したレンダリングを何度も行ううちに、最初に使用すべき設定がわかるようになります。
グローバル イルミネーションのレンダリング アトリビュートをオンにするには
- レンダー設定(Render Settings)ウィンドウを開きます。
- レンダー設定(Render Settings)ウィンドウで精度(Quality)タブを選択し、精度プリセット(Quality presets)をプレビュー: グローバル イルミネーション(Preview: Global Illumination)に設定します。
これでプリセット アトリビュートの設定がオンになり、グローバル イルミネーションの質を制御できるようになります。最初は、デフォルト設定を使用してシーンをレンダーします。イメージをレンダーしてエフェクトを確認したら、レンダー設定ウィンドウに戻って設定を適宜変更してください。
- レンダー設定ウィンドウを閉じます。
グローバル イルミネーションはフォトンを使用して、シーン内でのライトの相互反射をシミュレートします。フォトンは光源からシーンに放出されるエネルギーの小さな単位で、サーフェスで反射されて直接照らされない部分の光の輝度を左右します。レンダラはフォトン放出による照明をフォトン マップというファイルに記録します。
グローバル イルミネーションでシミュレーションを行うには、スポット ライトで光だけでなく、フォトンも放出するように設定する必要があります。シーンの全体的な明るさは、ライトの輝度と単一のスポット ライトからとフォトンの照明の組み合わせによって決まります。
グローバル イルミネーションのライティング アトリビュートをオンにするには
- ハイパーシェード(Hypershade)ウィンドウ(
ウィンドウ > レンダリング エディタ > ハイパーシェード(Window > Rendering Editors > Hypershade))を開き、ライト(Lights)タブをクリックしてシーン内のライトを表示します。
- ハイパーシェードで spotLightShape1 のアイコンをダブル クリックして、スポット ライトのアトリビュートを表示します。
- アトリビュート エディタで、spotLightShape1 タブをクリックして、スポット ライトのライティング アトリビュートを表示します。
- mental ray セクションを開き、コースティクスとグローバル イルミネーション(Caustic and Global Illlumination)アトリビュートを次のように設定します。
- フォトンの放出(Emit Photons): オン
- フォトンの強度(Photon Intensity): 8000
- GI フォトン(Global Illum Photons): 10000
次にイメージをレンダーするときに、スポット ライトからフォトンがシーンに放出されます。グローバル イルミネーションの明るさはフォトンの強度によって決まります。GI フォトンでは、シーンに放出されるフォトンの数を設定します。
レンダリングのパネル レイアウトを設定する
通常、レンダーしたイメージを作成する場合、テスト イメージのレンダリングと評価を何度か行って最終的なイメージを作り上げます。このとき、特定のウィンドウやパネルで、レンダー画質、シェーディング、およびライティングの各種設定を調整します。さまざまなウィンドウを開いたり閉じたりするのはあまり効率が良くありません。
レンダリングで頻繁に使用するウィンドウやパネルを表示しておけば、ウィンドウやパネルを何度も開いたり閉じたりする必要がなく効率的に作業できます。
レンダリングのパネル レイアウトを設定するには
- レンダー ビュー ウィンドウを閉じます。
- パース ビューのパネル メニューからパネル > 保存したレイアウト > ハイパーシェード/レンダー/パース ビュー(Panels > Saved Layouts > Hypershade/Render/Persp)を選択します。
パネル レイアウトが更新され、ハイパーシェード(Hypershade)ウィンドウ、レンダー ビュー ウィンドウ、およびパース ビューが同時に表示されます。これにより、これらのウィンドウを繰り返し開いたり閉じたりしなくても簡単に作業できるようになります。
パネル レイアウトを変更するとレンダー ビュー ウィンドウのイメージが粗くなる場合、次の操作を行ってください。
- レンダー ビュー ウィンドウ メニューで、ビュー > 実際のサイズ(View > Real Size)を選択します。これにより、レンダーしたイメージが実際のイメージにサイズ変更されます。
ヒント:プリセット レイアウトのパネル サイズを変更するには、左マウス ボタンを使用してパネルの枠をドラッグします。
グローバル イルミネーションを使用してシーンをレンダーする
すでにライトはフォトンを放出するように設定され、グローバル イルミネーションのプリセットが選択されており、グローバル イルミネーションを使用してテスト イメージをレンダーする準備は整っています。
グローバル イルミネーションを使用してシーンをレンダーするには
- レンダー ビュー(Render View)ウィンドウで前のレンダーのやり直し(Redo Previous Render)アイコンをクリックし、デフォルトのグローバル イルミネーション設定を使用してイメージをレンダーします。
- イメージのレンダリングが完了したら、イメージを維持します(Keep Image)アイコンをクリックしてイメージを保存します。
- 今回レンダーしたイメージと前にレンダーしたイメージを視覚的に比較してください。
このレンダリングでは、グローバル イルミネーションによりシーンのシャドウの部分があまり暗くなっていません。また、ボウルが前のレンダリングよりも透明になっています。
ここでの目的は、グローバル イルミネーションによってシャドウ部分を間接的に照らして、ディテールが見えるようにすることです。つまり、グローバル イルミネーションの結果としてシャドウの領域のディテールを詳細に表示できます。このために、グローバル イルミネーションのフォトン アトリビュートを調整する必要があります。アトリビュートを変更してから、シーンをレンダーして変更結果を確認します。このように、テスト レンダリングを繰り返すことにより、目的の最終イメージを完成させることができます。
次の手順では、アトリビュート エディタを使用してフォトンの強度(Photon Intensity)を上げ、シーンの全体的なグローバル イルミネーションを強化します。
グローバル イルミネーションの輝度を上げる
フォトンの強度を上げるとグローバル イルミネーションの明るさが増します。次のテスト イメージでは、シーンの影になっている部分の明度を上げてディテールが見えるようにします。
グローバル イルミネーションのライティングを強くするには
- ハイパーシェード(Hypershade)ウィンドウで spotLightShape1 のアイコンをダブル クリックして、スポット ライトのアトリビュートを表示します。
- アトリビュート エディタで、spotLightShape1 タブをクリックして、スポット ライトのライティング アトリビュートを表示します。
- コースティクスとグローバル イルミネーション アトリビュートを次のように設定します。
- フォトンの強度(Photon Intensity): 120000
フォトンの強度を上げると、グローバル イルミネーションの影響を受ける部分の明るさが増します。
シーンをレンダーするには
- レンダー ビュー(Render View)ウィンドウで前のレンダーのやり直し(Redo Previous Render)アイコンをクリックし、イメージをレンダーします。
- イメージのレンダリングが完了したら、イメージを維持します(Keep Image)アイコンをクリックしてイメージを保存します。
- 今回レンダーしたイメージと前にレンダーしたイメージを比較します。
フォトンの強度を上げたため、このイメージの照明の明るさが増しています。これは、シーンの明るさが増してシャドウ部分のディテールが見えることからわかります。ただし、ボウルの後ろの暗い壁に円形の模様ができています。これは、フォトンの質が低く設定されているために生じているものです。
グローバル イルミネーションの質を調整する
グローバル イルミネーションの質は、主に次の 3 つのアトリビュートに左右されます。
- サンプリングの精度(精度(Accuracy))
- 特定のサンプリング ポイントの周辺部分のサイズを決める半径の大きさ(半径(Radius))
- フォトンの数(GI フォトン)
次の手順では、レンダー設定(Render Settings)ウィンドウとアトリビュート エディタに戻り、グローバル イルミネーションのエフェクトに影響を与える質のアトリビュートの値を大きくします。
グローバル イルミネーションの質の設定を大きくするには
- レンダー設定ウィンドウで間接ライティング(Indirect Lighting)タブをクリックし、グローバル イルミネーション(Global Illumination)セクションを展開します。次のアトリビュートをグローバル イルミネーション(Global Illumination)に変更します。
- 精度(Accuracy): 900
- 半径(Radius): 2.5
精度 の設定によって、特定のサンプリング ポイントでグローバル イルミネーションの輝度を定義するために評価されるフォトンの数が決まります。また、半径によって、特定のサンプリング ポイントの周辺領域のサイズが決まります。サンプリングするフォトンの数が多いほど、最終イメージのグローバル イルミネーションが均一になります。
注:グローバル イルミネーションに関連する質やフォトンの設定を大きくすると、イメージのレンダーにかかる時間も長くなります。こうした設定は、目的のイメージ画質を実現できれば十分であるため、レンダリング時間に影響が出るほど値を上げる必要はありません。
- レンダー ビュー(Render View)ウィンドウで前のレンダーのやり直し(Redo Previous Render)アイコンをクリックし、イメージをレンダーします。
- イメージのレンダリングが完了したら、イメージを維持します(Keep Image)アイコンをクリックしてイメージを保存して、前にレンダーしたイメージと今回のイメージを比較します。
精度と半径の値を大きくすると、レンダーしたイメージから円形の模様がほぼ完全に消え、前のレンダリングに比べてグローバル イルミネーションが非常に均一になります。グローバル イルミネーションのフォトンの数を増やしても、グローバル イルミネーションをより均一にすることができます。
次の手順では、フォトンの数を増やしてシーンのグローバル イルミネーションを均一にします。
グローバル イルミネーションのフォトンを増やすには
- ハイパーシェードで spotLightShape1 のアイコンをダブル クリックして、スポット ライトのアトリビュートを表示します。
- アトリビュート エディタで、spotLightShape1 タブをクリックして、スポット ライトのライティング アトリビュートを表示します。
- コースティクスとグローバル イルミネーションアトリビュートを次のように設定します。
GI フォトンの数を大きくすると、レンダー プロセスの最初に作成されるフォトン マップの密度が上がります。フォトンの数を増やすにつれて、グローバル イルミネーションはスムースになりますが、レンダリング時間が長くなります。
イメージをレンダーするには
- レンダー ビュー(Render View)ウィンドウで前のレンダーのやり直し(Redo Previous Render)アイコンをクリックし、イメージをレンダーします。
- イメージのレンダリングが完了したら、イメージを維持します(Keep Image)アイコンをクリックしてイメージを保存して、前にレンダーしたイメージと今回のイメージを比較します。
このイメージでは、前のレンダリングで表れていた円形の模様が消えています。また、オリジナルのレイ トレーシング レンダリングと比べた、その他のグローバル イルミネーションのエフェクトを確認できます。
- オブジェクトの多くは、グローバル イルミネーションによって、シーン内の隣接するオブジェクトのカラーの影響を受けます。このエフェクトをカラー ブリーディングといいます。カラー ブリーディングが生じると、反射光および透過光によってオブジェクトは隣接オブジェクトのカラーの影響を受けます。
これで、小さなイメージのグローバル イルミネーションのテストおよび調整が完了したため、イメージ サイズを大きくしてシーンの最終イメージをレンダーしてその質を上げることができます。
イメージ サイズおよびアンチエイリアシングの値を上げるには
- レンダー設定ウィンドウで、共通(Common)タブを選択し、イメージ サイズの設定を開きます。
- イメージ サイズを大きくするために、プリセットを 640×480 に設定します。
- レンダー設定ウィンドウで、精度(Quality)タブを選択します。
- アンチエイリアシング精度(Anti-Aliasing Quality)アトリビュートを開きます。サンプリング モード(Sampling Mode)はデフォルトのまま(適応サンプリング(Adaptive Sampling))にしておき、次の設定を行います。
- サンプル数(Number of Samples) - 最大サンプルレベル(Max sample level): 1
サンプリングによってアンチエイリアシングの回数が決まります。サンプリング レベル アトリビュートでは、イメージ内の指定したピクセル領域に対して行われるサンプリング数の下限と上限を設定します。アンチエイリアシングのサンプリング レベル設定を変更することにより、レンダーしたイメージのサーフェスをスムースにできます。
このイメージ サイズのイメージでアンチエイリアシングのサンプリングを行う場合、最大値を 1 に設定するのが最適です。
シーンの最終イメージをレンダーするには
- レンダー ビュー(Render View)ウィンドウで前のレンダーのやり直し(Redo Previous Render)アイコンをクリックし、イメージをレンダーします。