エクスプレッションでのカスタムアトリビュートを使用する

オブジェクトにカスタムアトリビュートを追加し、エクスプレッション内で使用すると効果的な場合があります。カスタムアトリビュートを使用して、他の複数のアトリビュートを制御することができます。また、他のアトリビュートによって読み取られる値を保存するための一時変数として、カスタムアトリビュートを使用することもできます。

カスタムアトリビュートは、オブジェクトの特性に対しては直接的な影響を及ぼしません。

例

次のエクスプレッションを使用して、Planet という NURBS 球体を XY 平面上の円周軌道に沿って動かすと仮定します。

Planet.tx = sin(time);

Planet.ty = cos(time);

Planet の軌道は、ワールド座標の原点を中心とし、半径の大きさは 1 単位です。

次の手順で、distance というカスタムアトリビュートを作成し、時間の経過に伴って Planet の軌道の半径を大きくします。

注:図の小さいボールの連なりは、Planet の円形軌道を表しています。これらのボールは Planet の動きを単に視覚的に分かりやすく表現したもので、アニメーションまたはエクスプレッションの一部ではありません。

カスタムアトリビュートを追加して軌道を変更するには

Planet を選択します。
修正 > アトリビュートの追加（Modify > Add Attribute）を選択します。
アトリビュートの追加（Add Attribute）ウィンドウのロングネーム（Long Name）テキストフィールドに distance と入力します。
アトリビュートの作成: キー設定可（Make attribute: Keyable）がオンに設定されていることを確認します。
データ型（Data Type）を float に、アトリビュートタイプ（Attribute Type）をスカラー（Scalar）に設定します。
最小（Minimum）に 1、最大（Maximum）に 10、デフォルト（Default）に 4 をそれぞれ入力します。
最小と最大は、アトリビュートエディタまたはチャンネルボックス（Channel Box）に入力できるアトリビュート値の最大値と最小値を設定します。

デフォルトは、アトリビュートのデフォルト値を設定します。

エクスプレッションは、最小と最大の値によって制限されるわけではありません。エクスプレッションで指定する値が、アトリビュートに代入されます。

エクスプレッションでは、アトリビュートエディタまたはチャンネルボックスに入力された値あるいはデフォルト（Default）値を読み取ることができます。
追加（Add）ボタンをクリックしてアトリビュートを追加し、アトリビュートの追加（Add Attribute）ウィンドウを閉じます。
エクスプレッションエディタ（Expression Editor）のアトリビュート（Attributes）リストに Planet の距離（Distance）アトリビュートが表示されます。これで、どのエクスプレッションでも距離アトリビュートの値を設定または参照できるようになりました。
エクスプレッションを次のように変更します。
```
Planet.tx = distance * sin(time);
```
```
Planet.ty = distance * cos(time);
```
sin(time) と cos(time) の値に距離アトリビュートの値を掛けることにより、Planet の円形軌道の半径は距離アトリビュートを使用して計算される値になります。正弦関数と余弦関数の詳細については、便利な関数を参照してください。

Planet に距離アトリビュートを追加した場合、そのデフォルト値を 4 と指定したため、アニメーションを再生すると、Planet はワールド座標の原点から 4 グリッド単位の半径の円形軌道を描きます。

エクスプレッションを使用して、時間の経過に伴って距離アトリビュートの値を変化させることができます。
エクスプレッションを次のように変更します。
```
distance = time;
```
```
Planet.tx = distance * sin(time);
```
```
Planet.ty = distance * cos(time);
```
距離に時間（time）の値を代入することにより、アニメーションの再生時間が増加するのに伴い、Planet の円形軌道の半径が増加します。アニメーションを再生すると、Planet は一定の割合で外側へ広がる螺旋状の軌道を描きます。

エクスプレッションを使用して距離アトリビュートを制御する代わりに、時間の経過に伴って距離アトリビュートの値にキーフレームを設定することもできます。

たとえば、距離アトリビュートに対し、フレーム 1 において 1、フレーム 200 において 10 というキーフレーム値を設定すると、1～200 フレームまで再生する間に、Planet は一定の割合で外側に広がる螺旋状の軌道を描きます。アニメーション時間の経過に伴い、Planet の距離アトリビュートの値がリニア補間され、1 から 10 まで増加します。

距離アトリビュートのアニメートに使用できるのは、キーフレームまたはエクスプレッションのどちらか一方であり、両方を使用することはできません。

ヒント:エクスプレッションで制御しているアトリビュートを、キーフレームで制御できるように変更するには、エクスプレッションエディタを使用して、そのアトリビュートに値を代入するすべてのエクスプレッションを削除し、編集（Edit）ボタンをクリックします。次にチャンネルボックスを使用してアトリビュートの値を初期値に戻し、必要なキーフレームを設定します。
反対に、キーフレームで制御しているアトリビュートを、エクスプレッションで制御できるように変更するには、チャンネルボックス（Channel Box）でそのアトリビュートのテキストフィールドをクリックし、チャンネル > 選択項目の削除（Channels > Delete Selected）を選択します。次にエクスプレッションを使用して、アトリビュートに値を代入します。