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レイ トレーシングを使用してシーンをレンダーする
レッスン 5: コースティクス
レッスンを終えて
コースティクスを使用してシーンをレンダーする
コースティクスを使用してレンダーするには、特定の設定またはアトリビュートをオンにする必要があります。最初に設定するコースティック関連のアトリビュートは次の 2 つです。
- レンダー設定(Render Settings)ウィンドウを使用して、コースティクス関連のレンダリング アトリビュートをオンにします。
- アトリビュート エディタを使用して、コースティクス関連のライティング アトリビュートをオンにします。
最初にデフォルト設定でこれらのアトリビュートを使用してシーンをレンダーし、レンダーしたイメージを確認します。その後、レンダーしたイメージと前のレイ トレーシング レンダリングを比較します。コースティクスを使用したレンダリングを何度も行ううちに、最初に使用すべき設定がわかるようになります。
コースティクスのプリセットをオンにするには
- レンダー設定ウィンドウで精度(Quality)タブを選択し、精度プリセット(Quality Presets)をプレビュー: コースティクス(Preview: Caustics)に設定します。
これで、コースティクスの質を制御するプリセットがオンになります。
- レンダー設定ウィンドウを閉じます。
mental ray for Maya ではフォトンを使用してシーンのコースティック エフェクトをシミュレートします。フォトンはシーンの光源から放出されるエネルギーの小さなパケットです。フォトンは透明なオブジェクトでは屈折し、反射率の高いサーフェスでは反射しながらシーン内を進みます。レンダラはフォトン放出による照明をフォトン マップというファイルに記録します。全体的なコースティクスのシミュレーションは、フォトンの計算結果によって決まります。
スポット ライトからは光をだけでなく、コースティックス フォトンも放出されます。全体的なコースティックス エフェクトは、フォトンの計算結果によって決まります。
コースティクスのライティング設定をオンにするには
- ハイパーシェードで spotLightShape1 のアイコンをダブル クリックします。
- アトリビュート エディタで、spotLightShape1 タブをクリックして、スポット ライトのライティング アトリビュートを表示します。
- mental ray セクションを開き、コースティクスとグローバル イルミネーション アトリビュートを次のように設定します。
- フォトンの放出(Emit Photons): オン
- フォトンの強度(Photon Intensity): 8000
- コースティクス フォトン(Caustic Photons): 10000
- アトリビュート エディタを非表示にします。
コースティクスを使用してシーンをレンダーする
すでにライトはコースティックス フォトンを放出するように設定され、コースティクスのプリセットが選択されており、コースティクスを使用してイメージをレンダーする準備は整っています。
コースティクスを使用してシーンをレンダーするには
- レンダー ビュー(Render View)ウィンドウで前のレンダーのやり直し(Redo Previous Render)アイコンをクリックします。
- イメージのレンダリングが完了したら、イメージを維持します(Keep Image)アイコンをクリックします。
- レンダー ビュー(Render View)ウィンドウの下部にあるスクロール バーを左右にドラッグして、今回のレンダリング イメージと前にレンダーしたイメージを比較します。
このイメージが前のイメージと異なるのは、次の点です。
- ボトルが前より不透明になっています。このことから、適切な数の屈折が適用されていないことが考えられます。レイ トレーシング屈折レベル(Raytracing Refraction Level)の設定を大きくする必要がある可能性があります。別のプリセットを選択すると(制作からプレビュー)、屈折レベルが変わります。
- ボトルのすぐ前にあるテーブルの表面に光のスポットができています。これはフォトンの質の設定を調整することで修正できます。
- シャドウの中に目的のコースティックス エフェクトが表れていますが、あまり目立ちません。ボトルの表面で屈折するライトによって、明るい部分がさらに目立るようにする必要があります。
屈折レベルを調整する
屈折レベルの設定が小さすぎると、光線は一部のサーフェスだけで屈折され、レイ トレーシングの際に半透明なサーフェスがリアルに見えません。このため、半透明に見えるべきオブジェクトが不透明になってしまいます。
屈折(Refractions)の設定を大きくすると、光線の屈折回数が適切になり、レンダラでガラスのサーフェスを通して見える部分を正しく計算できるようになります。
次の手順では、屈折の設定を変更して、レンダーしたときにボトルが半透明に見えるようにします。
屈折レベルを大きくするには
- レンダー設定(Render Settings)ウィンドウで精度(Quality)タブを選択し、レイ トレーシング(Raytracing)アトリビュートを開きます。
- レイ トレーシング(Raytracing)セクションを次のように設定します。
- 屈折(Refractions): 6
- 最大トレース デプス(Max Trace Depth): 8
屈折(Refractions)の設定では、光線の屈折可能な回数が設定されます。この設定が小さすぎると、光線は一部のサーフェスしか通過できません。最大トレース デプス(Max Trace Depth)の設定では、屈折と反射の合計回数の上限が設定されます。たとえば、この値を 8 に設定すると、反射を 2 回、屈折を 6 回行うことができます。
フォトンはレンダリングの際に光線と同じように屈折します。コースティックス フォトンの屈折設定を大きくすると、レンダラでボトルに適用するコースティクスを正確に計算できます。この場合、コースティックス フォトンの屈折設定とレイ トレーシングの屈折を一致させることをお勧めします。
フォトンの屈折設定を大きくするには
- レンダー設定ウィンドウで、間接ライティング(Indirect Lighting)タブを選択します。
- フォトン トレース(Photon Tracing)セクションを次のように設定します。
- 最大フォトン デプス(Max Photon Depth): 6
- フォトンの屈折(Photon Refractions): 6
最大フォトン デプス(Max Photon Depth)の設定では、コースティクス フォトンの屈折と反射計算の上限を設定します。フォトン の屈折(Photon Refractions)の設定はレイ トレーシングの屈折(Refractions)設定と似ていますが、コースティクス フォトンの屈折を設定するものです。レンダー設定ウィンドウを閉じます。
コースティクスの輝度を上げる
フォトンの輝度を大きくすると、ボトルのシャドウに表れる屈折されたコースティクスの明るさが増します。
フォトンの輝度を大きくするには
- ハイパーシェード(Hypershade)ウィンドウで spotLightShape1 のアイコンをダブル クリックして、スポット ライトのアトリビュートを表示します。
- このライトのコースティクスとグローバル イルミネーション(Caustic and Global Illlumination)アトリビュートを次のように設定します。
- フォトンの強度(Photon Intensity): 36000
シーンをレンダーするには
- レンダー ビュー(Render View)ウィンドウで前のレンダーのやり直し(Redo Previous Render)アイコンをクリックし、イメージをレンダーします。
- レンダーが完了したら、レンダー ビュー(Render View)ウィンドウのイメージを維持します(Keep Image)アイコンをクリックしてこのイメージを保存します。
- 今回レンダーしたイメージと前にレンダーしたイメージを比較します。
ガラスの透明さが一層リアルになっています。また、ボトルのシャドウのコースティクス エフェクトがはっきりしています。ただし、ボトルの前のサーフェス上にある光のスポットが前よりも強くなっています。これは、コースティクスの質が低く設定されているために生じています。
コースティクスの質を調整する
シーン内のコースティクス エフェクトの質は、主にフォトンの数、サンプリングの精度、およびサンプリング領域の半径によって決まります (すでにグローバル イルミネーションのチュートリアルについて学習済みであれば、類似点にお気づきかもしれません)。
次の手順では、レンダー設定(Render Settings)ウィンドウとアトリビュート エディタに戻り、コースティクス エフェクトに影響を与える質のアトリビュートの値を大きくします。
コースティクスの質を向上させるには
- レンダー設定ウィンドウで、コースティクスとグローバル イルミネーション(Caustics and Global Illumination)アトリビュートを開いてコースティクス(Caustics)のアトリビュートを次の値に変更します。
- 精度(Accuracy): 900
- 半径(Radius): 1.5
精度 の設定によって、入力したサンプリング ポイントでコースティクスの強度を定義するために評価するフォトンの数が決まります。また、半径によって、特定のサンプリング ポイントの周辺領域のサイズが決まります。サンプリングするフォトンの数が多いほど、最終イメージのコースティクス エフェクトがよりリアルになります。
- レンダー設定ウィンドウを閉じます。
シーンに放出されるコースティクス フォトンの数を増やすと、コースティクス エフェクトの質も向上します。コースティクス フォトンの数を大きくすると、レンダー処理の最初に作成されるフォトン マップの密度も増します。フォトンの数を増やすにつれて、コースティクス
エフェクトはスムースになります。
注:コースティクスの質とフォトンの設定を大きくすると、レンダリング時間も長くなります。こうした設定は、目的のイメージ画質を実現できれば十分であるため、レンダリング時間に影響が出るほど値を上げる必要はありません。これらの設定を決める際にはテスト レンダリングを行うことをお勧めします。
コースティクス フォトンの数を増やすには
- ハイパーシェード ウィンドウで spotLightShape1 のアイコンをダブル クリックします。
- コースティクスとグローバル イルミネーション(Caustic and Global Illlumination)アトリビュートを次のように設定します。
- コースティクス フォトン(Caustic Photons): 50000
- レンダー ビュー(Render View)ウィンドウで前のレンダーのやり直し(Redo Previous Render)アイコンをクリックします。
- イメージのレンダリングが完了したら、イメージを維持します(Keep Image)アイコンをクリックして、前にレンダーしたイメージと今回のイメージを比較します。
このイメージでは、前のイメージと比較してボトルの前にある明るい部分が少なくなっています。また、ボトルのシャドウのコースティクスがよりはっきりと均一に見えます。