学生作品コンテスト“MASC (Maya Animation Student Competition)2006”は、昨年をはるかに超える約160点のクリエイティブな作品の応募があった。今年は、大学・専門学校に加えて、社会人スクールからも多くのエントリがあり、これは、プロのクリエイターやアーティストを目指す学生にとって、MayaやMaxといったクリエイティブツールが、デジタル映像コンテンツ制作環境におけるポジショニングの確立とともに、その大きな広がりを示していると言える。 今年は、応募作品のクォリティレベルに飛躍的な向上が見られた。この結果、予備審査を経て、映画やハイビジョン、ゲーム等のデジタル映像コンテンツ制作のプロフェッショナルで構成される審査員による本審査の受賞選考では、グランプリ賞 1作品、準グランプリ賞および特別賞それぞれ2作品の選考を目指して、受賞候補作品を繰り返しチェックしながら白熱した議論が展開された。 この激しい審査を勝ち抜き、『うさぎのしっぽ』が見事グランプリ賞の栄冠を獲得。準グランプリ賞は『ROBOTICS』および『RUN AWAY』が受賞し、また、『Vibesity』と『TO BE』が特別賞に輝いた。これらの受賞作品で共通していることは、クリエイティブツールの機能を生かした、アニメーションパイプラインを構成する「モデリング・アニメーション・シェーディング・レンダリング」の基本CGテクニックがしっかりとベースにあり、“Ambient occlusion”や“Toon shading”的な独自の質感表現や造形、さらには、空間およびシーン構成等の秀でた表現技法による高いクオリティの追求であった。また、ライブイメージとCGとの融合などのおう盛なチャレンジ性も訴求ポイントとなった。その中で、とりわけ、グランプリ受賞作品『うさぎのしっぽ』は、シンプルな映像空間の中で繰り広げられる、視線の導入や絶妙な間の取り方などの卓越したアニメーションセンスに加え、ストーリーテリング・キャラクター・モデリング・シェーディング・テクニックのそれぞれにおけるトータルバランスでも高い評価を得た。 今年で、2年目を迎えた“MASC”コンテストの審査を通じて、将来を担うアマチュア・クリエイター達の中で、Autodesk Mayaを中心としたクリエイティブ・ツールによるCGテクニックの醸成が、「ドッグ・イヤー」的なスピードで進んでいることを実感した。来年へ向け、“MASC2007”では、今回で実証された高度な技術レベルを切磋琢磨しながら維持しつつ、「コンテンツ・クオリティ」を決定する重要な要素のひとつである「ストーリー・テリング」にも、クリエイティビティをより一層発揮し、伝統的なエンターテイメントやドキュメンタリー性を超える斬新なコンセプトをもつ作品の応募を期待したい。