Q. どのようなきっかけで3Dコンピュータグラフィック業界に関わるようになったのですか?
A.初めて3Dコンピュータグラフィック(CG)の世界を知ったのは10代の頃でした。CG関連の本に載っていた静止画に感動し、気づいたら夢中になっていました。美術大学での専攻は油絵でしたが、その当時は、大学でCGを使うことはできませんでした。それでも多くの学生がCGに関心を寄せていました。
ありがたいことに大手通信企業のCG研究所に勤務する研究員と知り合いになり、そこでCGの機材に実際に触れることができたのです。
1995年、CG研究所で習得した知識や経験をもとに最初の3D CGアニメーション「Spheroid」を制作しました。PowerAnimatorを使用して制作した卒業制作の一部であるこのアニメーションが、SIGGRAPH 1995のアニメーションフェスティバルで入選しました。卒業後は、コンピュータグラフィック分野の仕事に就きたかったため、日本の大手ゲーム企業、ナムコに入社しました。
Q. Mayaをどのように活用されていますか?
A. ナムコでのゲームタイトル開発と個人の作品の両方、特にプロシージャ・モデリングにMayaを使用しています。Mayaを使えない環境など想像できません。Mayaのオブジェクト指向シェーダは自由度が高いため、希望通りの外観を生成できます。それに、GUIが洗練されていて使いやすい設計なので、選択したいメニューをすぐに見つけることができます。市販されている3Dソフトウェアの中で、Mayaが最も強力で使いやすいと確信しています。
Q. これまでどのようなプロジェクトに取り組まれましたか?
A. ナムコでは、レンダリングされたアニメーションで表現を生成するためのさまざまな技術を研究するチームで仕事しています。そのほか、リアルタイムゲームの開発に関わっていますし、個人の作品も制作しています。母校の非常勤講師として3DCGアニメーションの指導にも携わっています。
Q. 高橋さんにとってこの業界が面白くなった要因はなんですか?
A. 自分が関わった研究の成果が直接ゲーム市場に反映されることです。ユーザからの反応はいろいろですが、新しいマーケットやトレンドを生み出すプロセスに関わっていると感じます。開発のプロセスは、非常にダイナミックで活気に満ちています。
Q.5年後の3DCG業界はどのような状況と思われますか?
A. 高性能グラフィックチップを搭載した次世代型ゲーム機の登場で、よりリアルな3DCGを家庭用ゲーム機で簡単に体験できるようになるでしょう。それだけではなく、日本のブロードバンドネットワークは普及してきていますから、5年以内にはネットワークのインフラも拡大され、ネットワークベースの家庭用ゲームの利用が進むでしょう。そうなると、今日のゲームの制作方法とこうしたゲーム制作に必要な技術は変わっていくのではないでしょうか。
Q. 3Dコンピュータグラフィックの世界に挑戦したい人にアドバイスをお願いします。
A.創作活動へのひらめきはあらゆるところから見つけることができます。日常生活の中で身の回りのものを観察し、日々新しい何かを発見するように心がけてください。
これによって、アーティストとしての視野を拡げられます。狭い視野で特定のアプローチにこだわると、創作力が貧弱になってしまいます。それに、仕事と仕事以外の生活のバランスを取ることも大切です。 |